地方アニメイト事情に関しての今後の課題

見たいけど見れない。これが地方のアニメ事情である。初っぱなからなぜこんな唐突な話を切り出したのかというと、地方と中央(東京を中心とした首都圏)でのアニメの視聴格差が非常に激しいからである。
 なんのことはない、語り尽くされたネタではないか、と言う人もいるだろう。しかし、京都アニメーションなどがAIRに引き続き涼宮ハルヒの憂鬱(※トップ画像参照)などのアニメを完成させた今日、その主導権は関東圏から関西圏へと以降しつつあるのではないだろうか。それはつまり、アニメ製作の主流が関東を離脱したと云うことを意味するのだと、筆者は考えている。といっても関東圏を離れたとはいえ、依然大都市にアニメ制作会社などが集中する事は致し方ない事ではある。それこそ、地方のど田舎に製作会社がある方が問題があるだろう。しかし、現在京都アニメーションがアニメ制作を盛り上げている様に、東北などでも例えば仙台のデジタルアーツなどがもっと精力的にアニメ制作をしてほしいものだと思う。地方で作ったアニメを地方に還元する。それが今後のアニメ業界の役割なのではないだろうか。 
 さて、地方で放送されるアニメが少ないからと云って、アニメや漫画などに関心がないはずもない。そういった情報はインターネットなどを介して地方でも手に入るからだ。あるいは、首都圏に友人がいればそういった人の伝でアニメなどを手に入れる事も可能である。しかし、地方では残念ながらアニメなどを専門的に取り扱う店舗が殆どないというのが現状である。アニメ・漫画・グッツなどを専門的に扱う店としてあげられるのが全国的に展開するアニメイトである。今回は、アニメイトの展開状態などを少しばかりまとめてみた。又、今回は私自身が東北出身ということもあり、東北を中心にまとめた。
  







アニメイト店舗案内図 http://www.animate.co.jp/shop.html 抜粋)

 上記にあげたのはアニメイトの店舗案内である。現在東北には8店舗が展開している。その内訳は以下の通りだ。







参考資料 財団法人 国土地理協会議 「住民基本台帳要覧」から (2004年3月31日現在) 人口に関しては10万人以上

 こうして図化すると、山形にアニメイトが存在しない。私自身は現在山形に住んでいるが、山形市内にはアニメを主体的に取り扱った店というのは一店舗しかなく、それも腐女子に受けるものしか売っていません。そのほかにもゲーム店などは存在するがどれも、アニメイトほど専門的に取り扱った店ではない。
 ではアニメイトの出店条件とはどのようなものなのか。図化して見る限りでは、山形県の県庁所在地である山形の人口が東北六県でも最も少ないことがわかる。こういった事から県の都市人口によって左右されるのではないかと私は思うのだ。無論これは、東北六県だけで比べた場合であるが、他の地域の都市人口を比べた場合でも同じ事が云えると思う。
例えばアニメイトが出店していない県の内、島根県松江などは人口が約14万人であるし、鳥取県鳥取も約14万人である。また、これに対してアニメイトが出店している県は県庁所在地の人口が約26万人以上となっている。さらに、アニメイトが出店した県で人口が20万人以上の市にも出店している事を考えると、どうやら一店舗の出店を足がかりにさらに同県内の第二、第三都市に出店していくという可能性も開かれる。(例、青森県福島県など)しかし、不明な点としてあげられるのは、和歌山(和歌山県和歌山は約37万人)である。(あるいは、大阪へのアクセスが用意である為というものであるのか・・・)そういった点での、出店条件等の詳細は依然謎であるが、だいたいの目安としては26万人以上の都市にアニメイトが出店していると云えるのではないだろうか。また、県の人口などで比較した場合、東北六県では秋田県が最も人口が低いにもかかわらずアニメとがある。そういう点を見ても、県の総人口というよりも、県庁所在地の人口(人口密度)が出店などの条件になっているのではないかと考えられるのだ。
 こういった、アニメイトなどのアニメ専門店の出店によってなにが違ってくるのかというと、それは県内のアニメや漫画などに興味を示す人口が違ってくるという事である。主要都市にそういった店舗が存在すれば、首都圏のアニメ事情等もすぐに流入してくるであろうし、同人活動なども活発になる。
 問題なのは、やはりそういった拠点作りを地方でも行わなければならないという点ではないだろうか。現在の状態では、首都圏で年間放送されるアニメ本数が約60本に対して、地方(東北等)では大手のアニメ(ワンピースなどのフジテレビ系やNHKなど)を除けば1〜2本程度である。アニメ放送に関しては、特に秋田県などが東北の中でも悲惨で、日テレ、フジテレ、朝日テレビ、このほかNHKしか局番が存在しない。にもかかわらず、秋田市アニメイトなどには常に人が居る状態で、それなりの賑わいがある。これは、やはりアニメは放送されないが、アニメイトなどの店内情報やインターネットなどの情報を元に来店する人が多いためだ。また、アニメイトに行くために地方から遠征してくるという人も存在するくらいだ。このように、地方に何らかのアニメや漫画・グッツを取り扱う店があるだけでも、そこに言葉は悪かもしれないが巡礼する人が現れてくるのではないだろうか。
 これが、山形県となるとそうもいかない。山形県は東北の中で唯一アニメイトが存在しない県であることは先ほども述べたとおりだ。アニメに関しては、昨年度はガンダムSEEDDestinyなどが放送され、現在はNaNaが放送されるなど秋田県よりはアニメの放送数が多い。しかし、アニメイトなどの拠点が無いため、そういったものに興味を示す人が集う場所があまり存在しない。先ほど述べた取り、市内にはグッツなどを扱う店も何店舗かは存在するが何れもアニメイトの質・量には及ばず、依然として飽和状態が続いている。それには都市の立地等も影響していると思われる。というのも、山形市は山に囲まれた盆地で都市そのものの土地が少ないという事もあり人口増加に歯止めが掛かっている。
 また、これがアニメイトからメロンブックス・虎のあな・まんだらけになってくるとさらに出店条件はそのハードルを増し、都市人口が約100万人に達しないと出店されないようである。
 ここでどうこう述べたと云って、アニメイトなどが出店してくる訳でもない。地方格差をどうにかして無くしていきたいと思うのが心情ではあるが、その活動となるとまた話は違ってくからだ。ただ一つ云えることは当分はこの状況が続くということは間違いない。
 最後に、こういった問題は、考えれば考えるほど個人単位では手の施しようのない問題であり、集団でなんらかの行動を起こさない限り状況は改善されないということをご理解いただければ幸いである。

又、今後の課題に関しては地方同人会などの傾向などを取り上げる予定である。