いじめ自殺(3)〜文科省がいじめに対して緊急提言〜

文科省が、いじめを放置助長させた教員に対して懲戒処分を適応することを求めた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061130-00000001-maip-soci

いじめ対策に緊急の対応を強いられる形になったとはいえ、少々やりすぎな感が否めない。
確かに生徒が相談してきて、それを放置した場合は問題がある。
しかし、いじめというものはそもそも本人からの自己申告や、周囲からの報告がなければ発見しにくいものだ。
そうしたことが、後々発覚して教職員が懲戒されるとなると、これは後出しジャンケンとなんら変わりはない。
さらに言えば、処分内容を厳罰化してしまった事によって、ただでさえいじめを隠蔽してしまう体質の学校を、刺激しかねない内容と云える。
いじめの発生報告が学校側の自己申告に頼っている。そのことを考えれば、履修問題などと同じように捏造され隠匿されてしまうであろうことは、想像に事欠かない。
また、いじめを行った生徒に対して制裁措置を行うことは良い。だが、こちらもそれを提言化してしまったが故に、本来発見できるはずだったいじめが、さらに見えにくくなる危険性が生じてしまった。
誰だって、いじめは犯罪行為だと云われれば、いじめがあった事実を隠匿しようとする人が出てきても不思議ではない。
いずれにしても、リスクがある提言だと云えるだろう。


問題なのは、実際にいじめにあった生徒、あっている生徒に対してどの様な対応を取れるのかと云う点ではないだろうか。
相談するしないに関しては本人の意志が大きく左右されてくるが、相談することを助長させる事は可能である。
前回示した通り、いじめの発生件数が減少するごとに増加する登校拒否、これに対する対応策を考えた方がよほど現実的なはずだ。
文科省が行った提言よりなら、現実問題として山積するいじめによる不登校者などへのケア等に対して、緊急の予算を組んだほうがまだ良い。
今必要なことは、いじめにあった生徒に対して、逃げ場(避難所的なもの)を作る事なのだろう。
例え、言葉や文章で「いじめはダメなのだ」と声高らかに理想を叫んだところで、いじめを行っている人に対してその言葉がどれだけ届くのであろうか。
冒頭に述べたように、さらにいじめそのものが見えにくくなるだけである。
それよりなら、死を覚悟するに至るまで学校に通う必要性はない、と云った方がまだ良いと思う。
重要なのはいじめ被害に遭った場合に於ける、学校以外の教育場所を設定、設置することである。
そしてそれを、提言として国内に提示させた方がよっぽど効果的な気がしてしまう。
現に、今現在でさえいじめ自殺は継続しているのだから、それに対して一刻も早い現場での実戦可能な対応策を導入することが必要なのである。




前回のいじめ自殺データに関して
いじめと自殺 - (続)愚問〜論理迷走論考〜

いじめ自殺(2) 〜データから云えること〜 - (続)愚問〜論理迷走論考〜


文部科学省 いじめに対する緊急メッセージ
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/06110713.htm


その他、関連記事など
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061130-00000033-mailo-l13


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061130-00000045-mailo-l06


http://www.shinmai.co.jp/news/20061130/KT061129ETI090005000022.htm