春熊狩り体験記(1) 〜現在の現状を踏まえて〜


2007年雪崩跡を残す春の残雪山 東北某所にて


先日、某所にて春熊猟に参加する機会があり貴重な体験をしてきました。
今年は、昨年の大量捕殺のため春熊猟が危ぶまれるということもありました。
現在では狩猟者も高齢化が進み、なかなか行える機会がなくなってきているといいます。
昨今の動物被害などから、こうした伝統的な猟が見直されてきてはいますが、依然として伝統の維持、継続は年を追うごとに困難になりつつあるのが現状です。
それは、先ほど述べたように狩猟者の高齢化ということと、過疎化に起因していると云っていいでしょう。
人口は都市へ集中し、地方の中山間地域の人口減少は止まるところを知りません。廃村化によって人間の自然への圧力は減少し、その結果動物の活動ラインは私たちの生活ラインと隣り合わせになりました。
以前存在していた里山というクッションがなくなり、動物は簡単に町に侵入してきます。
春熊猟は、ただ熊を捕獲するだけではなく山に人間が入る事によって、動物に人間のテリトリーを主張するという非常に重要な役割を果たしていました。
そうすることによって、守られる自然もあったと云うことです。
それらの個々の意味を考えずに罠による捕獲にだけ頼るのであれば、今後も昨年度のような大量捕殺は実行されていくことでしょう。
これを見る大部分の人は、そのような話はどうでも良いと考える人が多いかもしれません。
ですが、昨年度の4700頭という命の数は私たちに、私たちが進むべき岐路を考え直せと訴えかけているようにも聞こえてきます。

今一度、古来より行われてきた文化を見つめ直すことで救われる命があるとするならば、少しだけ考えてみる事も決して無駄にはならないのではないかと思うのです。